笑って咲く花になろう

日々感じたことや趣味について書きます

ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレント」という人物。

 

彼女はドイツ出身の哲学者。

 

かのマルティン・ハイデッガーの弟子で、彼と不倫関係にもあったそうです。

 

またユダヤ人であることから、ナチスドイツに迫害も受けていた人です。

 

全体主義の分析に取り組み「全体主義の起源」を著し、

 

2013年に映画で描かれたりもしました。

 

そんな彼女に私がなぜ注目しているかというと、

 

アーレントが残した言葉や考え方は、

 

今の自分たちに十分当てはまることであるし、

 

決して忘れてはならないことだと思うからです。

 

アーレントは第2次世界大戦後、米国の大学で教鞭をとっていました。

 

ある日「ナチス大物戦犯を逮捕」というニュースを知ります。

 

その戦犯とはアドルフ・アイヒマンという男。

 

ナチスドイツの高級官僚だった彼は

 

ホロコーストに深く関与し、

 

ユダヤ人の強制収容所への移送で指導的役割を果たした人物でした。

 

彼は逃亡の末逮捕され、イスラエルで裁判にかけられました。

 

その傍聴記録をとったのがアーレントでした。

 

ホロコーストという大罪を犯したアイヒマンとはどんな人物であるかに

 

彼女は強い興味を持ったからです。

 

裁判中、アイヒマンは一貫して自分は無実だと主張します。

 

「私は一官僚として上からの命令に従ったまでだ」

「そうしなければ私がナチスの法で裁かれていた」と、

 

それを聞いたアーレントは思います。

 

「彼はなんて凡庸な人物なんだ」と。

 

それと同時に、悪の正体にも気づきます。

 

「本当の悪は凡庸さから生まれるのだ」と。

 

ホロコーストのような紛れもない悪事は、

 

「悪いことをしてやろう」と考えている人が行うんじゃない。

 

何も考えない思考停止状態に陥り、

 

組織の歯車として何かを行うときに生まれるのだと。

 

アイヒマンはまさにそうでした。

 

ユダヤ人の強制収容所への移送という仕事。

 

これは大量虐殺を補助するもの以外の何物でもありません。

 

自分がしている仕事によって何が起きるのか。

 

少しでも考えればそれは明白であり、止めることもできたはずです。

 

しかし彼は止めなかった。組織の歯車として淡々と仕事をこなしただけでした。

 

この思考停止が怖いんです。

 

そのことに気づいたアーレントは「凡庸という悪魔」という言葉を残します。

 

凡庸という悪魔はどんな組織にも宿る可能性がある。

 

それが宿るときに「悪」が生まれるのだと。

 

この悪の本質を突いた傍聴記を発表したアーレント

 

イスラエルで激しい批判にさらされます。

 

「あの大量殺人犯を擁護するのか!」と。

 

この批判には重要な意味が隠されています。

 

批判している人々は、「アイヒマンは極悪人だ」という前提で考えています。

 

これって「思考停止」ではないですか?

 

つまり、批判している人々が仮にアイヒマンの立場にいれば、

 

彼と同じように組織の歯車となって、

 

ホロコ-ストという悪事を行っていたと考えられるんです。

 

皆さんも思考停止に陥ってはいませんか?

 

例えば、

 

「改革、改革と言う人がいるけど、たぶん改革はいいことだろうから支持しよう」

 

とか、

 

グローバル化は世界の垣根をなくす素晴らしいことなんだ。

 

だからそれを否定する人はみんな差別主義者だ」

 

などなど…

 

その思考停止がいずれとんでもないことを引き起こすかもしれません。

 

どうか自分の頭で考える習慣を身に付けてください。

 

そうすることで何かが変わるはずです。

 

ではまた。

 


映画『ハンナ・アーレント』予告編